入通院慰謝料の計算方法【自賠責と裁判所基準の違い】

代表弁護士 木谷 倫之 (きだに ともゆき)

交通事故の慰謝料にはいくつか種類がありますが、その中に「入通院慰謝料」というものがあります。

入通院慰謝料は、入通院の期間によって金額が決められるものですが、注意点としてどの基準で計算されるかによって金額が全く異なるということです。

このページでは「入通院慰謝料」の基礎的な知識と、示談の際の注意点についてお伝えします。

入通院慰謝料とは何なのか

入通院慰謝料とは、入通院によって生じた精神的苦痛を賠償する意味合いの慰謝料です。

慰謝料とは精神的な苦痛に対するを受けた場合に加害者が被害者に支払うお金のことをいいます。民法では「他人に不法行為をおこなった場合には、財産以外の損害も支払わなければならない(民法710条)」としており、この条文を根拠に精神的損害に対する弁償を必要としています。その支払いのことを「慰謝料」と呼んでいます。

交通事故の被害者が怪我をしている場合には、入院・通院が必要になります。交通事故の被害にあわなければ入院や通院をしなくてよかったので、入院・通院をするという苦労を負わされた精神的損害は、不法行為者である加害者が弁償しなければなりません。その慰謝料のことを「入通院慰謝料」と呼んでいます。

入通院慰謝料はどの基準で計算されるかによって金額が大きく異なる

入通院慰謝料は、入通院した期間によって金額が決まる仕組みになっています。ただし、どの基準で計算されるかによって金額が大きく異なります。

具体的に言えば、自賠責基準で計算された金額は裁判所基準と比べ著しく低い傾向にあります。

自賠責基準の入通院慰謝料

自賠責基準(※)の場合には次の計算式となります。

※自賠責保険の支払基準が改正され、令和2年4月1日以降に発生した入院慰謝料については、新基準が適用されます。令和2年4月1日以前に発生した入院慰謝料については、1日につき4,200円です。

  • 4,300円×通院期間

通院期間の計算は以下の①・②のうち低い方が採用されます。

  • ①総治療日数:入院日数と通院日数の合計したもの
  • ②実通院日数:入院日数と実通院日数の合計を2倍にしたもの

自賠責基準では上限が120万円までなのも留意しなければなりません。

裁判所基準の入通院慰謝料額

次に裁判所基準での入通院慰謝料の目安です。

単位(万円) 入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4ヶ月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7ヶ月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8ヶ月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9ヶ月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10ヶ月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209

(むち打ちなどが原因で他覚的初見がない場合)

単位(万円) 入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4ヶ月 67 955 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7ヶ月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8ヶ月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9ヶ月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10ヶ月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209

自賠責基準と裁判所基準ではどれだけ変わるのか?

例えば、90日(3ヶ月)の通院を行なったと想定します。計算すると以下の通りになります。

自賠責基準 387,000円
裁判所基準 530,000円

このように約14万円も違うという結果になりました。

また、入通院慰謝料は賠償金の中のひとつの項目でしかありません。賠償金の中には他にも会社を休まざるを得なくなった分の「休業損害」、後遺障害が残れば「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」など多くの項目があります。これらの中にも、どの基準を用いるかによって金額が異なるものは多いです。交通事故の賠償問題では、どの基準で計算するかによって金額が変わるからこそ、弁護士に依頼し、適正な賠償金を得ることが重要となります。

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