後遺障害の「併合」「相当」「加重」とは?弁護士が詳しく解説

代表弁護士 木谷 倫之 (きだに ともゆき)

不運にも交通事故に巻き込まれた場合、怪我の程度によっては「後遺障害」が残ることもあります。

交通事故に巻き込まれることは人生にそう何度も起きることではありませんが、中には2回目の事故によって同じ箇所に後遺障害をおったり、一度の事故で複数箇所に後遺障害が生じるケースもあります。

このような場合の後遺障害は「併合・相当・加重」といった制度で扱われることになります。

このページでは後遺障害における併合・相当・加重の仕組みについてお伝えします。

併合とは?

交通事故の後遺障害等級は、受傷箇所に分けて認定されることになりますが、同一の交通事故で2箇所以上に後遺障害が生じることもあります。このような場合に2つの等級を認定するのではなく、2つの等級を合わせて1つの等級として認定しており、これを「併合」と呼んでいます。

併合のルールの原則

複数箇所に後遺障害が生じた場合は、以下のようなルールに従って後遺障害等級が決定されます。

5級以上の後遺障害が2つ以上残存した場合 重い方の等級を3つ繰り上げる
8級以上の後遺障害が2つ以上残存した場合 重い方の等級を2つ繰り上げる
3級以上の後遺障害が2つ以上残存した場合 重い方の等級を1つ繰り上げる
14級の後遺障害が複数残存した場合 14級で認定をする

例えば同一の交通事故で肩関節に障害が10級、右足の指の指が動かなくなってしまって9級と認定された場合には、重い方の9級を一つ繰り上げて8級で認定することになります。

1つの障害を複数の視点で認定することはできない

併合といっても、一つの怪我を分解して複数の視点で認定することはできません。たとえば、大腿骨の骨折で、大腿骨の変形が残ってしまった場合には、12級8号に該当し、手術で足が1cm以上短縮した場合には13級8号が認定できますが、この怪我は1つの怪我であると判断できるので、12級8号のみの認定となります。

併合のルールの例外

併合のルールですが、そのまま認めてしまうと不都合であると認定できる場合があるのでいくつかの例外があります。

1つの後遺障害に他の後遺障害が通常派生する関係にある場合

たとえば、右腕が骨折して骨がくっつかなくなってしまった状態(偽関節)では8級8号が認定されますが、その場所に頑固な神経症状が残っている場合には12級13号も認定できなくもないですが、これも一つの怪我が原因であると評価できるので上位の8級8号のみが認定されます。

組み合わせ等級が認定される場合

たとえば、左足を膝関節より上で失った場合には4級5号が認定され、反対の右足を膝関節で失った場合には同じく4級5号が認定されますが、両方の足をひざ関節以上で失った場合には1級5号が認定されるので、こちらを認定することになります。

併合の結果、障害の序列を乱す場合

たとえば、右腕を手関節以上で失って、左腕をひじ関節以上で失った場合、右手については5級4号、左手については4級4号の認定がされ併合すると2級になりそうですが、両手を肘関節以上で失った場合の1級3号の方が重いことになり、適用関係がおかしくなるので、併合しないで重い1級3号が認定されます。

相当とは?

交通事故の後遺症の中には、後遺障害として記されていないものもありますが、だからといって認定されないというわけではありません。残った症状を観察して、他の後遺障害の等級と比較し、同程度に扱うべきようなものである場合には、その等級に認定することがあります。このような認定方法を「相当」と呼んでいます。

たとえば、頭部に痕を残すような外傷を負ったような場合には、どの等級の認定にもあてはまりませんが、実際に生活に支障がでると判断できる場合で12級に認定されるようなことがあります。

加重とは?

交通事故にあって重い等級の認定をされることになったものの、元からその場所には後遺障害が発生していたようなケースがあります。

たとえば、片方の足をひざ関節から失った場合には4級5号の認定がされますが、元から足関節以上の所で失っていたような場合には、足関節以上の部分を失ったことについてはこの事故での責任を問うことはできないでしょう。ですので、このような場合には、差し引き計算が必要になり、認定自体は4級5号でされても、実際の損害賠償額からは差し引いて支払い額の認定がされることになります。

後遺障害が複雑な場合には交通事故につよい弁護士に相談すべき

ここまで、併合・相当・加重というものについてお伝えしてきましたが、どの複数の後遺障害がどう併合するのか、例外にあたるのかといったことは、個々の案件をきちんと観察しないとわからないのが実情で、ホームページでお伝えできるのは一般論だけになってしまいます。

どういう後遺障害に認定されるのか、といった観点がきっかでご相談いただいた結果、後に保険会社の主張の金額も大幅に低かったという事例もあります。後遺障害が発生するような交通事故にあわれた場合には、交通事故問題に強い弁護士に依頼をすることで大幅に金額を多く獲得することがほとんどです。

当事務所は後遺障害が発生する重篤な交通事故にあわれた被害者のかたに、治療中の段階から医学的・法律的にサポートすることはもちろん、治療に専念しタフな交渉をおまかせいただけますので精神的にもサポートすることが可能です。是非お問合せください。

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