【後遺障害等級認定】高次機能障害におけるポイントについて弁護士が解説

代表弁護士 木谷 倫之 (きだに ともゆき)

交通事故で頭部に衝撃が加わった場合、脳の機能障害である「高次脳機能障害」となるケースがあります。

日常生活に影響が出るようなことがある場合には後遺障害の認定をしてもらうことになりますが、認定を受けるにあたってのポイントはあるのでしょうか。

このページでは高次脳機能障害になった場合の後遺障害等級認定についてお伝えします。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、脳の損傷が原因で起こる認知障害全般のことを一般にいいます。

高次脳機能障害の症状

怪我や病気で脳に損傷を負うと、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害という症状が出ることがあります。

遂行機能障害とは、計画をたてて物事が実行できない状態をいいます。社会行動障害とは、暴力をふるったり大声を出すなどの、社会的に問題のある行動をすることを言います。「事故前後で性格が変わった」などの様子が見られる場合は高次脳機能障害である可能性も否定できません。

高次脳機能障害の原因

高次脳機能障害は以下のような原因で起こります。

頭部外傷

頭を強く打つなど、頭部への外傷を負った時に発生します。交通事故で高次脳機能障害になるのは主にこれが原因です。

脳卒中

脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳卒中に罹患すると高次脳機能障害になることがあります。

脳炎

細菌・ウイルスなどの感染症が原因で脳に炎症が生じることを脳炎と呼んでおり、そのダメージの深刻さ次第では高次脳機能障害が発生することがあります。

低酸素脳症

溺水・窒息などによって脳に酸素がいきわたらない低酸素脳症になった場合に、脳の機能が戻らず高次脳機能障害になることがあります。

高次脳機能障害によって後遺障害の等級について

高次脳機能障害が発生した場合には、どのような等級の後遺障害と認知される可能性があるのでしょうか。

2-1.別表第一1級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの

  • 1.食事・入浴・用便・着衣等,生命維持に必要な行動について,常時介護を要する
  • 2.高度の痴ほうがあるため,常時監視を要する

2-2.別表第一2級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護を要するもの

  • 1.食事・入浴・用便・着衣等,生命維持に必要な行動について,随時介護を要する
  • 2.著しい判断力の低下や情動不安定があるため,看視を欠かすことができない

2-3.別表第二3級3号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの

  • 1.生命維持に必要な行動はできるが,労務に服すことができない
  • 2.記憶や注意力等に著しい障害があって,一般就労が全くできないか,困難である

2-4.別表第二5級2号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

  • 1.単純繰返し作業等に限定すれば一般就労可能だが,特に軽易な労務しかできない
  • 2.一般人に比較して作業能力が著しく制限されており,就労の維持には職場の理解と援助を欠かすことができない

2-5.別表第二9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

  • 1.通常の労務はできるが,就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限される
  • 2.一般就労を維持できるが,問題解決能力などに障害が残り,作業効率や作業持続力などに問題がある

高次脳機能障害の認定のポイント

後遺障害の認定においては認定のための資料が必要になります。高次脳機能障害は、例えば腕が動かなくなった・切断したというような、客観的に判断しやすい後遺障害ではありません。そのため、CTやMRI等の画像所見や「診断書」「後遺障害診断書」「頭部外傷後の意識障害についての所見」「医師の意見書」「各種神経心理学的検査結果」等の様々な資料に基づいて申請をする必要があります。

こういった資料を読み解いた結果、上記の状態に該当するということを説得的に説明することが必要で、高次脳機能障害の等級認定のレベルは一般的に高いと言われています。

高次脳機能障害が発生した場合には弁護士に相談すべき理由

高次脳機能障害が発生したような場合には弁護士に相談することをお勧めしています。

その理由としては以下の通りです。

高次脳機能障害の証明をするのは一般的に難しい

高次脳機能障害は上記のように、様々な資料をもとに過去の事例や認定例などの非常に膨大な情報がないと有利な等級を取るのが難しいという現状があります。

後遺障害の認定だけではない保険会社との交渉の問題

仮に後遺障害で有利な等級がとれたとしても、交通事故の損害賠償の問題はそれで終わりではありません。保険会社から示談金の呈示がされるのですが、その額が適切なのか、保険会社からの主張が適切なのかを見極めなければなりません。高次脳機能障害が発生しているケースで患者本人やその家族がその作業をするのは困難なケースが多く、保険会社が主張する低い額での和解を余儀なくされているのが現状です。

交通事故に強い弁護士が力になります

当事務所は、交通事故問題に強い法律事務所として、治療段階から被害者に寄り添って法律的精神的なケアに努めてきた姿勢で2,000件以上の解決をお手伝いしてきました。高次脳機能障害の等級認定に必要な医学的な知識についても熟知している当事務所に是非ご相談ください。

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