死亡事故での逸失利益の計算方法

代表弁護士 木谷 倫之 (きだに ともゆき)

交通事故で被害者が死亡してしまった場合には、相続人である遺族は損害賠償請求をすることによって、加害者が加入している保険会社から保険金として支払いを受けることができます。

その賠償金の内訳として「逸失利益」という項目があるのですが、死亡事故の逸失利益と後遺障害を負った場合の逸失利益では計算の仕方が若干異なります。

今回は死亡事故における逸失利益の計算方法についてお伝えします。

「逸失利益」とは何か

「逸失利益(いっしつりえき)」とは、交通事故に遭わなければ得られたであろう将来にわたる収入のことです。正確にいうと、不法行為が原因で本来得られたにもかかわらず得ることができなくなった利益をいい、交通事故の示談金額の中にこの金額も含まれています。

被害者が死亡した場合の「逸失利益」はどのように計算するか

後遺障害の逸失利益と死亡事故の逸失利益では、計算方法が少し違います。

死亡事故の逸失利益の計算式は以下の通りです。

  • (基礎収入)×(1-生活費控除率) × 稼働可能期間×稼働可能期間に対応するライプニッツ係数

各項目の意味は以下の通りです。

基礎収入

事故に遭う前の実際の収入を指します。

サラリーマンや公務員は実際の年収、自営業者は確定申告の金額を基準に基礎収入が算定されます。専業主婦は実際には収入はありせんが、賃金センサスなどを参考に基礎収入が決めれられるため、逸失利益を受け取ることが可能です。

生活費控除率

交通事故にあわずに生存していれば、収入を得ていたのですが、同時に生活をするためには費用も出て行きます。死亡したということは費用の支出がなくなったともいえるので、その分は差し引きしなければ公平とはいえません。その計算をするのに、生活費控除率という係数を利用します。

生活控除率は自賠責基準と裁判所基準で異なります。

自賠責保険の場合

被扶養者がいる場合 35%
被扶養者がいない場合 50%

裁判基準の場合

被害者が一家の支柱(被扶養者が1名) 40%
被害者が一家の支柱(被扶養者が2名以上) 30%
女性の場合 30%
男性の場合 50%

基礎収入・労働能力喪失期間・ライプニッツ係数については以下の記事で詳しく述べていますので合わせてご覧ください。

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稼働可能期間

事故に遭わなければどれぐらいの期間働けたのかというものを表す項目です。

原則として67歳までの期間を稼働可能期間として算定します。

ライプニッツ係数

逸失利益は一括で受け取るものになるので、利息分は控除しなければなりません。その調整のために使われるのがライプニッツ係数です。

死亡事故の逸失利益の計算例

仮に年収500万円の方が死亡事故によって亡くなったと想定して計算します。

【条件】35歳・男性 / 被扶養者:2名 / 年収500万円

  • 500万円(基礎収入)×0.7(生活控除率)×15.803=5531万円

以上のような計算となります。

逸失利益の額に納得できない場合は裁判で争う

上の計算はあくまでも裁判所基準で計算した目安です。実際は保険会社は独自の基準(任意保険基準)で計算してくることがほとんどで、想定よりも低いと感じるケースも少なくありません。

示談で金額について話し合うことが基本線とはなりますが、どうしても金額の折り合いがつかない場合は最終的には裁判で争うことになります。保険会社は逸失利益以外の項目も独自の方式で計算しているため、裁判で賠償金全体について争うことで、最終的に大幅な増額となることも多いです。

逸失利益の金額に争いがある場合には弁護士に相談をする

逸失利益の計算が納得いかない場合にはできる限り早く弁護士に相談をするようにしましょう。

保険会社が呈示をしてくる金額は基本的に著しく低いことが多いので、争いたいのが逸失利益の額だけだとしても、実は他の賠償も低く見積もられていることはよくある事です。

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